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熊谷で飲食店支援、宅配一括サービス「クーマーイーツ!」社会実験始まる

チラシを持つ白田さん

チラシを持つ白田さん

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 飲食店のテークアウト商品を利用者に届ける宅配一括サービス「クーマーイーツ!」の社会実験が4月10日、熊谷市内で始まった。

テイクアウト情報サイト開設からクーマーイーツ!開始までは8日間

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 企画の中心はシェアカフェなどを運営し、空き家・空き家のリノベーションと連動したまちづくりを展開する市内の設計士白田和裕さん。新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少している業者支援や新たなコミュニティー、ビジネスの創造が狙い。

 SNSを中心に市民が意見を交換して実現したもので、弁当やスイーツなど10店舗が参加した。当日は注文のあった72品を2人の配達員がデリバリーし、配達料込で5万8,000円の売り上げだった。毎週金曜日のランチタイムでのサービスを予定する。

 白田さんはコロナ禍で悩む飲食店の力になろうと、市内の「ウスキングベーグル」店主の臼杵健さんらと熊谷、行田、深谷の飲食店のテークアウト情報を集めたサイト「まちのテイクアウト情報・デンクマル」を4月2日に開設。作業を進める中で白田さんは「今必要なのは、テークアウトより配達。スマホ、ネットと賛同の気持ちがあれば、誰かがリスクを背負うのではなく、みんなで分散するようなやり方でできるのでは」と、各店個々にやっている配達をエリアで集約するサービスを発想した。臼杵さんは「飲食店以外にも苦しんでいる人がたくさんいる。そこで、これまでは垣根のように見えていたものを飛び越えて、みんなの知恵を集めれば解決できる事例を生み出せたら」と賛同した。

 大都市でアプリを活用して「配達パートナー」がメニューを届ける「ウーバーイーツ」や、「谷根千宅配便」などコロナ禍の影響で全国各地に生まれつつある同様のサービスを参考にして「クーマーイーツ!」が誕生した。SNSで宅配一括サービスの提案し、同時にページ作成やメディア、コミュニティーリーダーなど「得意のある人」を集めコミュニケーションが広がった。「予約フォームができました」「◯◯ではこんな取り組みをしています」「ワクワク感が伝わるようにインスタライブやります」「知り合いのオフィスに宣伝します」「仕分作業はビニール手袋必須」「自転車あります」などの投稿が次々に寄せられた。できるだけ釣りができないよう、価格を800円、500円、300円の3つに絞り、宅配料を1品200円、総額1,500円から注文を受け、支払いは現金のみ、エリアは参加店が集まる熊谷市中心部限定のルールを設定した。臼杵さんは「飲食業者はまさに今月来月の資金繰りが現実にあると思う。スピード命」と強調する。

 当日は商品を1カ所に集め、11時~12時と13時の2回に分けて希望時刻に配達した。配達員アルバイトの武涼加さんは「居酒屋のバイトは減ったし大学も休校で、やることなかったから面白かったしありがたかった。体も動かせていい気分転換。大学の友達に話したら、ぜひ利用したいと好評だった」と振り返る。参加店「バックパッカーズランチ」の店主、鈴木三保さんは「自分の店のものでもないのに、こんなにいろいろやってもらえてありがたい。自分も地域のためになることをしたいと思った」。利用した吉澤啓介さんは「便利だし、地元飲食店応援できるし、コロナが収まった後も使いたい」と話す。

 白田さんは「始めてみて出てきた課題もあるが、公共機関や企業など大きな注文を増やして継続させたい。宅配を通して、1人体制で全部こなすような各店の状況が分かったのも収穫。今後はディナータイムに展開し、宅配一括サービス以外の家賃対策や雇用調整も含めてできることを仕掛けていきたい」と話す。臼杵さんは「SNSで多くの人のアイデアが集められたのは、ラグビーワールドカップで築いた『スクマム!』体制が生かせたからでは。店で使えるプリペイドチケットの発行や、みんなで同じメニューを楽しみながら店舗スタッフと話せる『クーマーイーツ!オンライン飲み会』など、次々に楽しいアイデアが出ていているので実現させたい」と意気込む。

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