熊谷市役所に隣接する熊谷商工会議所(熊谷市宮町)で5月27日、市内の飲食店「キューチャンカレー」がキッチンカーでの販売を行った。
北大通り沿い、熊谷商工会議所の建物横、市役所駐車場入り口脇のスペースに停まったベージュ色のキッチンカー。「Q-CHANG CURRY」の看板と赤地に大きな料理写真のポスターが目を引く。メニューはタイ料理の「カオマンガイ」。ゆでた鶏肉のだしで炊いたチキンライスの上に肉と野菜、自家製のタレをかけて食べる。価格は700円。
同店はアジア料理やインドカレーなどを提供するスパイスと音楽の店。熊谷駅近くに店を構える以前から、キッチンカーやケータリングでイベント出店するなど移動販売を行っていた。新型コロナウイルスの影響で3月以降予定していたイベントが全て中止となり、店舗への来店を促すこともできず販売場所を探していたという。今回、熊谷市と熊谷商工会議所の協力を得て、実験的にキッチンカーでの販売が実現。13日、20日に続き3回目の実施となった。
販売時間は11時~14時。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、待ち合い線をテープで示し、アルコール除菌スプレーの設置、商品受け渡しには手袋を着用するなど、対策を徹底し販売。スタッフは「お客さま同士で、並んでいたら譲り合って時間差で来てくれたり、こちらから声を掛けなくても他の方と距離を保ってくれたりして、皆さん良く理解してくれている。ありがたい」と話していた。
販売開始から間もなく客が訪れ、一人また一人と客足は止まらず、12時過ぎには完売した。小学生の子どもが家で待っているという、仕事の休憩時間に立ち寄った女性は「いつもは何か作って置いてくるが、今日は何もなかったのでありがたい。すぐに食べられる」と話した。店舗に行ったことがあるという女性は「前回のお豆のカレーもおいしかった。普段お店にないメニューが出るのも楽しみ」と話していた。他にも「今回限りだなんて寂しい、ぜひまた利用したい」「どこかの駐車場や公園にキッチンカーが来てくれたら、屋外で密集せず、行きやすいのでは」と声があった。
店主のQチャンは「今回の移動販売はモニタリングの一環」と話す。「緊急事態宣言解除とはいえ街に人が戻って来ることはまだ想像できない。これからどう変わっていくのか、どうやって続けていったらいいのか試行錯誤しながら進めていく。密を避けることは大切だが、人が集まらない工夫をしながら販路を広げていきたい」と意気込む。