ビンテージショップ「Blance(ブランス)」が1月16日、深谷市七ツ梅酒造跡(深谷市深谷町、TEL 090-9832-0696)にオープンした。
感動して店を始めるきっかけになったコールマン製のランタン。背後は秋山さんが数十年ぶりに発見した板壁
江戸時代から続いた酒造所「七ツ梅酒造」跡の一角、以前鬼瓦工房だった所にある同店。周囲にはミニシアターや古書店、コーヒー焙煎(ばいせん)店、ギャラリーなどがある。レンガ造りの建物を店主の秋山恵一さん自らリノベートした店内にビンテージものの家具やキャンプ用品、コーヒー用品などの雑貨、レコード、オーディオ製品のほか、ビンテージ風に仕立てたハンドメード家具が並ぶ。欧米製が多いが日本製もある。秋山さんは「店内目に見えるものは全部商品」と話す。
秋山さんは深谷市出身。本庄市でアクリル製品メーカーを経営している。10代の頃からイギリスのオールドロックを入り口に古い物全般に魅力を感じていたという。本格的にビンテージにのめり込んだきっかけはキャンプ道具。秋山さんは「50年以上前に作られたランタンが、メンテナンス次第ですぐに火がつき、手をかければ味が出る、壊れずに長く使える。そういう頑丈さみたいなものに感動した。それからは照明一つにしても、古いものを探し、どうやって手入れして使おうかと考えるようになった」と話す。
3年前から「故郷で思い入れのある深谷市で開業したい」と、ビンテージショップにふさわしい雰囲気の建物を探し始めたがなかなか条件がそろわず、探し続けたという。2020年に七ツ梅酒造跡を運営する「まち遺(のこ)し深谷」の代表で深谷シネマの竹石研二館長から「この4月に空く物件がある」と紹介され現在の場所に決めた。秋山さんは「始めるならきっちり仕上げたい」とコロナ禍の中で集中して準備を進め、外から商品が見えるよう透明ガラスと引き戸を手製ドアに替えたり、壁をはがして出てきた古い板を磨いたりとリノベーションに取り組んだ。天井にはアクリル業で扱うパレットの古材を使い、天日干しして味わいを出すなどこだわりを見せる。店名の由来は娘の言葉から。秋山さんは「店の名前何がいい?と聞くと『ブランス』がいいと言う。文字にしてみると何語にもない単語で響きもいいので決めた」と話す。
以前この場所で鬼瓦工房「鬼義」を営んでいた塚越久義さんは「歴史あるこの場所に、若い世代が魅力的な店を始めてくれたのはうれしい」と話す。秋山さんは「趣味でなく事業として自立させたい、経営する会社に販売業の定款を加えた。大型家具も置ける2号店以降も構想し店舗を物色している。現在は週3営業だが、いずれは毎日開店してリメークも強化したい」と意気込む。
営業時間は11時~16時。火曜・木曜・土曜のみ営業。問い合わせはインスタグラムで受け付ける。