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東松山で映画「あなたへつなぐものがたり」 医療や介護など「支援者」視点、リアル描く

映画「あなたへつなぐものがたり」の出演者ら

映画「あなたへつなぐものがたり」の出演者ら

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 映画「あなたへつなぐものがたり」の撮影が現在、東松山市内で行われている。

撮影風景。当事者が実体験を話すノンフィクションと、主人公と当事者の関わりを描くフィクションの部分を融合させる

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 東松山市を活動拠点とする一般社団法人「医介連携いきがい協会」が病気や治療、介護などで困ったときに「当事者」と「病院」と「行政」と「支援者」とが連携できる「地域循環」を目指す「あなたへつなぐプロジェクト」の一環。映像を通じて自分らしく幸せに生きるための応援メッセージを伝える。

 同プロジェクトは2020年からの3年計画。昨年は闘病や治療、老化で外出が困難な人、誰にも相談できないと感じている人など「当事者」に視点を当てたショートムービーを制作。今年は医療や介護などの「支援者」に視点を当てた映画「あなたへつなぐものがたり」を制作している。

 作品はフリーランスの記者が闘病生活を送る夫婦を取材することから始まり、記者自身の病気も判明し、支援者との関わりを通して当事者や支援者の現状と将来を考える姿を描く。脚本は花香みづほさん。事前に当事者の声を集め、劇中で当事者が自分のことを話すノンフィクションの部分と、主人公と当事者の関わりを描くフィクションの部分を融合させ、「今までにない形の作品」に挑戦する。プロデューサーの飯嶋紘子さんは「とにかくリアルな作品にしたかった。病気を克服するまでの主人公の成長を描く作品は多数あるが、当事者の本当のことに迫る部分を追求した」と話す。

 同協会の眞子桂子代表理事は「どんな人にも意外と身近に当事者がいる。病気や介護で支援が必要な人がいる。当事者をケア、サポートする方がいる。がんと分かったら、当事者にどんな助けが必要か、周囲にはどんなサポートがあるのか、家族はどう関わったらいいのか。この作品には具体的な内容が分かりやすく描かれている」と話す。

 撮影は8月2日、東松山市から始まった。スタッフらは新型コロナ対策を講じながら進めている。オーディションで選ばれた主役の松長ゆり子さんは「初めての演出や撮影方法で役者として学ぶことばかり。ただ演じるのではなく、当事者の方や支援者の方に実体験を聞きながら撮影を進め、監督はタイミングが合うまで時間をかけてくれ、『自分の本物の感情になって出てくるせりふ』をじっと待ってくれた。関係者全員が映像の先にいる方々へ思いを寄せて取り組んでいる」と話す。「1人で演じているという感じはなく、皆さんに支えられて感じるままに撮影に臨んだ」とも。

 眞子さんは「病気になったとき、苦しみやつらい思いをブログに記したりSNSで発信したりする人もいるが、実際は打ち明けられない人が大半だと思う。この作品は当事者の中には見たらつらいと思う人もいるかもしれないが、家族や周囲の人に見てもらい、当事者にそっと寄り添うきっかけになれば」と話す。「支える側、支えられる側をつなげ、取り組みを広げていく」とも。

 映画は2022年2月20日公開予定。作品上映と同時に座談会やシンポジウムを行い県内外、全国へ発信する。

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