埼玉県信用金庫の「さいしん熊谷本町ビル」で9月11日・12日、官民連携による熊谷市新型コロナウイルスワクチン接種が行われた。
きっかけは7、8月に行われていた同信用金庫の職域接種。8月2日、県内に緊急事態宣言が発令され、熊谷市内では新型コロナ陽性者が急増。感染拡大防止の緊急対策として大量のワクチン供給に合わせて速やかな接種実施が急務となっていた。職域接種会場として使われていた「さいしん熊谷本町ビル」が、市の中心市街地に位置し分かりやすい場所であること、すでに職域接種で2000人近くが利用し会場設営が整っていたことから、熊谷市医師会、同信用金庫、熊谷市が官民連携により同施設を9月11日~10月17日の週末12日間、「特設接種会場」として開設することになった。
市は8月27日にホームページで発表。9月1日から妊婦を対象に、6日は16歳以上を対象に1日972人分の枠を用意。合計5832人1万1664回分の予約を受け付け、予約開始からわずか30分で定員に達した。
初開設となった11日、12日は市職員や埼玉慈恵病院を中心に協力した医療関係者ら30人のスタッフが対応した。熊谷市健康づくり課新型コロナウイルスワクチン接種対策チームの田辺知士主幹は「既に設営されていた会場内の動線が非常に機能的かつ効率的で、ほとんどそのまま使用できたことが大きい」と話し、準備期間の短縮、当日の接種がスムーズに行えたことに感謝する。同信用金庫の大濵陽広人事部長によると、会場の入り口と出口を分けて人の流れを一方通行にし、受付票を人数ごとに色分け、色ごとに誘導や接種後の待機を実施し、接種対象者が着席した場所で問診と接種を行い移動しないようにするなど工夫し、大幅な時間短縮につなげたという。「問診をする医師が接種者と対応しながら、接種後待機席を一望できる配置にし、接種後の様子も一緒に確認できるようにした」とも。
田辺さんは「混乱なく実施できてほっとしている。特設接種会場は今回限りだが、今後は安定したワクチン供給により市内の医療機関でワクチン接種が進むことを期待したい」と話す。
市が9月13日に公表した全年齢のワクチン接種率(2回目)は43.0%。21日には満12歳以上を対象にしたワクチンの予約受け付けも始まる。