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熊谷・小学生が市内巡る「新しい修学旅行」 コロナ禍でも、できる方法探して

立正大学を見学する小学生。見学内容は大学生のアイデアで決めた

立正大学を見学する小学生。見学内容は大学生のアイデアで決めた

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 熊谷市立石原小学校の6年生135人が11月2日、課外学習「つくろう私たちの新しい修学旅行」で市内各所を巡った。

立体視を体験する小学生と説明する大学生

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 コロナ禍で市内小学校の宿泊を伴う修学旅行が一斉中止となり、同校では昨年から「熊谷の歴史や文化に触れる旅行作り」「コロナ禍での問題解決学習」として総合的な学習の時間に「つくろう私たちの新しい修学旅行」と独自単元を作成。今年の6年生も夏休み前から熊谷の歴史や文化・名所を調べたり、興味のあるテーマを決めて見学計画を立てたり、電話や手紙で見学を交渉するなど準備を進めてきた。

 児童が選んだ見学先は32カ所。近隣小中高校や大学、祭りのおはやし、プラネタリウム、裁判所、石上寺、星溪園、妻沼聖天山、自衛隊熊谷基地、妻沼グライダー場などさまざま。菓子店や金融機関などもあった。1人5、6カ所を選んだコースに沿って32班に分かれて行動した。高城神社、熊谷寺、聖パウロ教会、星川周辺は、市民活動支援センターを通して観光ボランティアガイドの市民グループ「くまがい探偵団」にガイドを依頼。桜井邦夫会長は「リーダー中心にマナーもよかったしよく勉強していた。小学生だけのガイドは初めてだったが、熱心に聞いてくれてうれしい」と感心する。

 見学先の一つ、立正大学熊谷キャンパスは地域連携として「発信力UPセミナー」で募集した5人の学生が構内を案内。2D写真が3Dに見える「立体視」を体験したり、新旧さまざまな広域地図を見たり、国内外を飛行している飛行機のデータをリアルタイムで確認したりと大学授業の一部を体験。児童らは「広いね」「学校の中に川が流れている」「建物がかっこいい」と興味深く構内を歩いた。案内した大学生らは小学生の反応を見ながら構内を紹介。学生からは「予想していたよりも反応がよく、喜んでもらえてよかった」「体験や実践で得られる学びは大きいと思った」「会話から小学生の興味関心が分かりコミュニケーションの参考になった」「小学生に伝わるよう説明を工夫した。将来大学進学を考えたときに思い出してもらえたら」といった感想があった。同大地域連携コーディネーター小林真さんは「キャンパスの魅力を小学生に伝えるガイドを、発信力UPセミナーの題材とした。地理学科を持つ本学。今回をきっかけに、キャンパス以外のスポットをガイドする学生チームができてくれると面白い」と話す。

 市内和菓子店「かんだ和彩」では、4人ずつ2班のグループが訪れ和菓子作りを体験した。作ったのは「埼玉パナソニックワイルドナイツ」をイメージしたラグビーボールの上生菓子。クチナシでワイルドナイツブルーに色付けした練り切り生地を使い、白あんを包んで成型し、へらを使って模様と飾りを付けた。店主の神田武治さんは「ラグビーボールのだ円が難しかったようだが、みんな集中して取り組んでくれた。和菓子作りを体験してこんな仕事もあるんだと知ってもらうよい機会になったと思う」とほほ笑む。

 修学旅行を終えて、同校の関根達郎校長は「昨年に続きたくさんの方々の協力で成り立っている手作りの『新しい修学旅行』は、さまざまなドラマを生んでいる。地域で育つ子どもたちにとって、熊谷を知ることは一生の財産であり、ふるさとを大切にする心を育むことができると実感している。今後通常の修学旅行ができるようになっても何らかの形で地域と触れ合うこのような体験を続けていきたい」と意気込む。

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