深谷の「滝澤酒造」(深谷市田所町、TEL 048-571-0267)がリニューアルオープンして1カ月がたった。
1863年に埼玉県小川町で創業した同社は、1900(明治33)年に現在地へ移転。約170年ぶりとなる今回の改修工事では、江戸時代から残る柱や梁(はり)、建具などを可能な限り生かしながら、現代の建築技術を取り入れる「伝統と革新の両立」をテーマに工事を進めた。
建物のコンセプトは「和モダン」で、1階には販売店のほか事務所と応接室を配置。2階には団体客にも対応できる部屋と、かつて酒造りの職人たちを世話していた人の住居をリノベーションしたテイスティングバーを新設した。現在酒蔵見学は行っていないが、今後、見学後に日本酒を楽しめる特別なスペースとしてテイスティングバーを活用し、「酒蔵全体を楽しんでもらえる場にしたい」という。
11月2日・3日には、リニューアルオープンのお披露目を兼ねた「蔵びらき」イベントを開催した。日本酒の試飲・販売のほか、地元企業マルツ食品(深谷市)の漬物を使ったメニューや、蔵人が仕込むもつ煮やカレーなどを提供し、2日間で累計約500人が来場。社長の滝澤英之さんは「地域のお客さまへの感謝を伝える場として、『蔵びらき』は毎年続けていきたい。各地の酒蔵と同じように、当社も深谷のランドマークになれれば」と話す。
店内の試飲コーナーでは常時4種類の日本酒を用意し、好みの味わいや気分をタッチパネルで選ぶと、AIが店頭商品からおすすめを提案する仕組みも導入した。インバウンド客や日本酒が初めてという人でも、自分に合う一本に出合いやすい売り場づくりを目指している。
リニューアルから1カ月がたち、これまで足を運んだことがなかった新規客の姿も増えているという。同社では、深谷駅から徒歩圏内という立地を生かし、深谷のまち歩きや観光と組み合わせた新たな取り組みも模索している。
現在販売している商品は、「菊泉ひとすじ」(720ミリリットル4,950円)、「菊泉ひとすじロゼ」(同9,900円)、「菊泉大吟醸」(同3,300円)など約30種類。菊泉ひとすじはシャンパンと同じ瓶内二次発酵によるスパークリング日本酒で、きめ細かな泡立ちと透明感が特徴だという。
営業時間は8時~18時。日曜・祝日定休。