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小川町でアントレプレナープログラム 高校生の模擬会社が販売・決算報告も

「和紙」「有機農業」「酒蔵・地酒」をテーマに模擬会社3社を立ち上げ商品を販売した

「和紙」「有機農業」「酒蔵・地酒」をテーマに模擬会社3社を立ち上げ商品を販売した

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 高校生が地元の特産品をPRする販売会が2月3日、小川町観光案内所「むすびめ」(小川町大塚)で行われた。

販売用のレシピや使い方を記したポップを配置して商品を売り込んだ

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 4人1組になった地元高校生が社長・経理・宣伝・販売で役割を分担し、「和紙」「有機農業」「酒蔵・地酒」をテーマに期間限定で模擬会社3社を立ち上げた。地域の魅力を発信する起業体験学習「オガワ アントレプレナー・プログラム」の一環。プログラムを通じて地域課題を見つけ、地域の特性を生かして解決することで、持続可能な地域と人を創出し、地元での起業につなげる狙いがある。

 参加者は小川高校の生徒12人。全4日間のうち、ガイダンスとフィールドワークを終えて、販売活動日となった当日は、東武鉄道小川町駅前の観光案内所「むすびめ」の一角に色とりどりの商品が並んだ。入り口にのぼりを掲げて、販売する高校生が店先に立ち「いかがですか」「販売会やってます」と声を張り上げ、レシピや使い方を記した販売ポップを配置して客の興味を引き、来店客に商品を売り込んだ。約2時間の販売時間中の客足はほとんど途切れず、観光客や地元民、移住相談に来る人が立ち寄った。

 「買い物する人の目線が何となく分かった」と話すのは酒蔵・地酒担当の木坂颯佑社長。小川町の松岡醸造「帝松」の酒かすと酒かすを使った石けんを販売した。酒かすは販売終了時間を待たずに完売。石けんは数点残った。販売を終えて木坂社長は「お客さんが、買うか買わないかを判断する時間は予想以上に短いと分かった。説明が長いと聞いてもらえない。商品の魅力を伝えるためにもっと分かりやすい説明や売り文句が必要だった」と振り返る。

 ミニポーチやメモ帳、カードケースなど和紙製品の模擬会社「小川ペーパー」の島村慎一社長は商品をトレーに乗せて店先に立ち、町中も歩いて販売した。「小川は和紙で有名。買ってもらいやすいと思った」という島村社長。「和紙は量産できないから仕入れ価格が高く、なるべく価格を下げつつ利益を出すのは難しかった」と話し、販売時間を延長して呼び込みも行ったが販売数の伸び悩みに苦しんだ。島村社長は「町の人から高校生が頑張っているねと声をかけてもらい、応援してもらえたのがうれしかった。小川の人の温かさ、名産の多さを実感できた。小さな規模で起業して利益を出す経験は将来役立つと思う」と話した。

 白菜や大根、ネギ、ニンジンなど小川の野菜を販売した有機農業担当の佐久間琉惺社長は「家族皆の心と体が温まるようにと考えて、野菜セットを販売した。野菜の仕入れ価格は高騰しているが、なるべくいろんな人に多く買ってもらいたいと思い、ギリギリの価格設定にした」と話す。途中で「バラ売りにしてほしい」と声がかかり、損益分岐点を超えたことを確認して販売方法を切り替えたという。「仲間と一緒に目標を達成できてよかった」と振り返る。

 おがわアントレプレナープログラム実行委員会の小田穂さんは「売り上げの結果を求めているわけではない。販売しながら課題が見つかったら、次にどうするか、その場で考え実行してまた課題を見つける。考え方やプロセスが経験になる」と話す。「短時間の販売だったが、生徒たちの顔つきは時間の経過と共に変化した。皆が生き生きした表情で販売していたのが印象的。活動を通じてメンバーそれぞれの得意な部分が見られたことも良かった」とも。

 時間を15分延長して販売会を終え、その場で売上額を集計した3社。2月10日には決算報告会を行う。

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