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ローリングストックできる棚になる多機能防災リュックサック 建築士が開発

防災リュックサック「PONPA」と江熊香さん

防災リュックサック「PONPA」と江熊香さん

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 熊谷市在住の防災士で一級建築士の江熊香さんが現在、棚になる多機能防災リュックサックの開発を進めるプロジェクトに取り組んでいる。

棚になる防災リュックサックPONPA。棚に入れたままでも出し入れができ、開口部を片手でフルオープンできるため中身の管理もできる

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 江熊さん考案の「PONPA(ポンパ)」はローリングストック(備蓄している食料を賞味期限が切れる前に定期的に消費し、その都度買い足して備える方法)できる棚になるリュックサック。「身近なところにポンと置き、いざという時にパッと持ち出せる」をコンセプトに名付けた。一級建築士として20年近く建築に関わってきた江熊さんがポンパを考案するきっかけになったのは、13年前の東日本大震災だった。「テレビで、すし詰め状態の中、床に寝転がって避難生活を送る人々を見て心を痛めた。町で非常食などをローリングストックできたらという会話も家族と交わし、防災における住と食を考えるようになった」と振り返る。

 転機が訪れたのは2019年。商工会議所青年部のビジネスプランコンテストがあり、自身が温めいていた防災に関する案を出すと、仲間から後押しを受けた。2020年には防災士の資格も取得し、試行錯誤を繰り返した。ポンパは、建築士ならではの知識も生かし、避難時の移動手段に背負えるリュックサックを棚として日常使いできるようにし、座れたり、机になったりする機能なども加えた。特性のマットや枕クッションなどで苦痛を軽減できる防災用品にも力を入れ、防災リュックサックの開発試作品の展示出店を経て完成させた。

 「東日本大震災でも能登半島地震でも耐震強度がある建物が倒れ、建築士としても複雑な思いを抱えている。市販の防災リュックサックもあるが、せっかく備えても役に立たないケースも多い。防災リュックサックが日常空間に普通にあれば、意識しなくても防災ができるフェーズフリー(災害のためだけに備えない防災)が普及するのでは」と話す。

 現在、クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で支援を呼びかけている。オール・オア・ナッシング方式で、目標額は500万円。支援は1,664円から。リターンには、座れるポンパセット、ポーチ、簡易ロックセットなどを用意する。集めた支援金は、製作費や販売に向けた事業整備・継続費、返礼品の発送費などに充てる。

 江熊さんは「さまざまな災害が起きているが、防災はつい後回しになってしまう。防災意識を高く持ってもらうために、防災士としてSNS発信や防災イベントに取り組んでいる。防災を身近に感じることで創意工夫もできるようになる。ポンパのような防災リュックサックは、どこにでも置け、倉庫などわざわざ備蓄スペースを用意しなくても済み、すぐに背負えるため賛同してもらえる人が一人でも増えたら」と支援を呼びかける。

 3月31日まで。

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