熊谷の寺院「宝乗(ほうじょう)院 愛染(あいぜん)堂」(熊谷市下川上)で8月20日、夏祭りに合わせて「寺カフェ」が開催される。主催は熊谷市地域活性化プロジェクト寺カフェ。
戦後参拝者が減少していた同寺院は近年老朽化のため崩壊寸前だったが、2008年に地元有志らが愛染堂保存修理委員会を発足、支援活動を行い、昨夏に修復工事が完了した。
同プロジェクトは縁日や地域の催しに合わせ、子どもから大人まで楽しめる昔遊びやオリジナル絵馬の販売など異世代交流の場として地元に寄り添った企画を行う。今年2月の初開催、近隣寺院の厄神祭の参加に続き3回目となる。
プロジェクトを立ち上げたのは立正大学地球環境科学部環境システム学科3年の大城圭祐さんと柿沼彗さん。ゼミで「愛染堂の修復」について話を聞いたのがきっかけだったという。
大城さんは「愛染堂は、所有する実相院と檀家(だんか)をはじめ近隣地域や市内外からも修復の賛同を集め、助成金も活用して修復された。修復はとても意義のあることだが、修復完了は最終的なゴールではなく、これから10年20年100年とお堂を維持していくためには地域のコミュニティーが必要と感じた」と話す。
愛染堂が周辺住民の寄り合いの場や「心のよりどころ」となれば維持管理する動きにもつながる。自分たちにも手伝えることはないかと考え、地域の催しにさまざまな世代の参加を促すことを狙い「寺カフェ」を企画した。
同プロジェクトはこれまでに竹とんぼやこま回し、かるた遊びといった昔遊びコーナーをはじめ、キッチンカーでの飲食販売、地元酒蔵の協力を得て行う甘酒作り体験、染め糸を利用した組みひも作り体験などのワークショップも企画してきた。柿沼さんは「昔遊びを通じてお年寄りが小学生にこまの回し方を伝授したり、地元小学生手作りのかるたで遊ぶ子どもを囲んで親同士の情報交換があったりする。同世代・異世代が交流することで地域の輪を広げていければ」と話す。
「若い世代にも参加してもらうにはオシャレな雰囲気も必要」と愛染堂(愛を染める)にかけてハートをモチーフにした絵馬を考案・作成し販売。前回までに60枚以上を売り上げ敷地内には地元工務店の協力で絵馬架けも登場、朱色のハートが目を引く絵馬が境内に並んだ。
大城さんは「暑い町というイメージが定着しているが市内には寺院も多く存在し、行き交う路地ではあいさつが自然と出る『人と人との距離が近い住みやすい町』」。近い将来『寺カフェ』の活動を発展させて地域の寺院が人々の憩いの場所となり得ることを知ってもらい、寺巡りツアーなども企画していけたら」とも。
開催時間は10時~15時。