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深谷七ッ梅酒造跡東蔵に仮設芝居小屋 水上勉作品、501回目の上演へ

「七ツ時」(午前4時頃)に最も梅の香りが立ちのぼることに由来する七ッ梅酒造。その心意気を芝居小屋で受け継ぎたいと話す劇団希望舞台・トランク劇場のメンバーら

「七ツ時」(午前4時頃)に最も梅の香りが立ちのぼることに由来する七ッ梅酒造。その心意気を芝居小屋で受け継ぎたいと話す劇団希望舞台・トランク劇場のメンバーら

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 全国各地を回る劇団希望舞台のトランク劇場「釈迦内柩唄(しゃかないひつぎうた)」が4月12日から、深谷七ッ梅酒造跡(深谷市深谷町)東蔵の仮設芝居小屋で上演される。

釈迦内柩唄の案内

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 1985(昭和60)年の創立から、旅公演を中心に「誰にでも親しまれる現代の芝居」を求めて日本中を歩き回る同劇団。身近な生活を題材に悲しみや辛さを笑いに変え、人々に笑いと涙、生きることへ希望を語り続けてきた。

 代表の由井數さんが「演ずる者と見る人の顔が見え、お互いの息遣いを感じながら創る『劇場』を創造したい」と、縁あって同跡地を訪れたことをきっかけに深谷シネマの竹石研二館長に相談。芝居小屋応援サポーターズに協力を仰ぎ実現にこぎ着けた。

 上演する「釈迦内柩唄」は水上勉の戯曲作品。親の代から続く「死体焼き場」の仕事をしている家族と、その仕事を引き継ぐことになった末娘・ふじ子の物語で、これまでの上演回数は500回。上演501回目を迎えるに当たり、従来のホールや劇場公演とは別に寺の本堂や小さな会場でも上演可能な「トランク劇場」として舞台をスタートさせる。

 会場の東蔵は、以前ジャズライブや地元劇団の公演を行ったことがあるが、内部は特に設備がなくがらんとした空間。プロジェクトに賛同する人々が集まり、幕を張りビールケースを重ねて舞台を作るところから始まった。舞台職人も役者も演出家もほこりにまみれ、機材をつる竹や桟敷席用の畳、寺から借りてきた座椅子など一つ一つ準備した。

 「題材は暗いが思わず笑ってしまう部分もある作品」と話すのは製作の玉井徳子さん。「悲しみや辛さを受け止める主人公とその家族の言葉から心に温かいものが伝わり、見た後は生きることがいとおしくすがすがしさと温かさが残るはず」と笑顔を見せる。

 出演者からは「劇場やホールでの上映は『芝居を鑑賞する』という感じだが、芝居の原点はもっと身近なものだと思う。今を生きる人々の身近なところで息づいていく芝居の素晴らしさを深め、原点に立ち返りたい」と声があった。

 会場の七ッ梅酒造跡について玉井さんは「サポーターの皆さんが『町遺し(まちのこし)』と言われる通り、レトロな文化と日本人らしい心が息づいている貴重な場所。芝居は見る人が共感してくれて成り立つもの。近隣の方や地域の方に盛り立てていただき活動が続くことを願っている」と話す。

 開演時間は12日=14時~(完売)、13日=10時30分~、14時~、14日=13時~。各開演30分前に開場。料金は前売り一般=2,000円、高校生以下1,500円。当日券は各500円増し。

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