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比企地域「ため池里山農法」が日本農業遺産へ前進、一次審査通過

ため池農法世界農業遺産プロジェクト。水辺、雑木林、草地が混在する谷津田は、カエルやトンボ、水鳥などの生物にとっても大切な生育環境。生態学的にも重要性が見直されている

ため池農法世界農業遺産プロジェクト。水辺、雑木林、草地が混在する谷津田は、カエルやトンボ、水鳥などの生物にとっても大切な生育環境。生態学的にも重要性が見直されている

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 日本農業遺産に申請中の「悠久の谷津沼と共に歩む谷津沼農業」が9月18日、一次審査を通過した。

谷津田米

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 申請は滑川町、東松山市、熊谷市、嵐山町、小川町、吉見町、寄居町、JA埼玉中央、JAくまがやで構成する「比企丘陵農業遺産推進協議会」。今後は11月予定の現地視察を経て、最終的な認定作業に入る。

 日本農業遺産は社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある農林水産業とそれに密接に関わって育まれた文化、伝統的な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を認定する制度。国連食糧農業機関(FAO)が認定する世界農業遺産と、農林水産大臣が認定する日本農業遺産がある。

 協議会のある比企地域は300を超える日本有数の「ため池地帯」。大きな川がなく地下水もとぼしいため、谷間の奥に堤をつくって雨水や湧き水をためて水田に利用する「谷津田」と呼ばれる「ため池」が多く独特の景観、文化を形成する。この農業文化を継承しピーアールし、農業の6次化などと関連づけながら発展させようと2018(平成29)年に協議会が設立され日本農業遺産認定に向けて準備を進めてきた。

 申請に関わってきた立正大学地球環境学部の後藤真太郎教授は「2017(平成28)年から行ってきた申請書作成の労が報われた。この事業によって比企丘陵の素晴らしい環境から生まれた農産物や6次産業がさらに活発化し経済循環につながることだけでなく、景観に大きく影響する太陽光発電事業などを考えるきっかけになれば」と話す。

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