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秩父鉄道三ヶ尻線で一部区間廃止 会社間結び、新型車両など運ぶ「甲種輸送」も

最後の甲種輸送で熊谷貨物ターミナル駅構内に集合する職員(画像提供=秩父鉄道)

最後の甲種輸送で熊谷貨物ターミナル駅構内に集合する職員(画像提供=秩父鉄道)

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 秩父鉄道とJR線をつなぐ秩父鉄道三ヶ尻線で行われていた石炭輸送の終了と一部区間廃止に伴い9月28日、他社の新型車両などを運ぶ三ヶ尻線経由の「甲種輸送」も終わりを告げた。

最後の甲種輸送を担当した運転士(画像提供=秩父鉄道)

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 秩父鉄道三ヶ尻線は武川駅と熊谷貨物ターミナル駅を結ぶ全長7.6キロの貨物線。旅客列車の運行はなく貨物列車のみの運行で、秩父セメント(現在の太平洋セメント)熊谷工場への専用線を転用し昭和54(1979)年10月1日に開業。セメント原料となる石灰石は影森駅から三ヶ尻駅へ、燃料の石炭は熊谷貨物ターミナル駅から三ヶ尻駅へ運び、開業当時、熊谷工場で製品化されたセメントは熊谷貨物ターミナル駅を経由して各地へ輸送された。

 三ヶ尻線開業当時、年間874万トンを輸送した石炭や石灰石などの貨物列車輸送はセメントの需要低迷により減少。2019年度の年間輸送量は200万トン(うち石炭輸送は11万6000トン)だった。同社は今年2月の石炭貨物輸送終了に伴い、三ヶ尻駅から熊谷貨物ターミナル駅の3.9キロの区間廃止を決定した。

 近年同線は石灰石輸送のほか、羽生駅で東武伊勢崎線、寄居駅で東武東上線、熊谷貨物ターミナル駅でJR高崎線と他社線路に接続していることから、工場で製造、整備された新型車両やリニューアル車両を機関車でけん引し、納入先の鉄道会社まで運ぶ「甲種鉄道車両輸送」(通称「甲種輸送」)のルートとしても活用されてきた。鉄道ファンにも知られ、廃止が発表されるとSNS上で「廃止になるとは」「廃止されたら東武の新車はどのルートで運ぶのだろうか」と関心の声が上がっていた。

 28日朝、最後の甲種輸送となった東武鉄道のリバティ(500系)が熊谷貨物ターミナル駅を出発。けん引機には「三ヶ尻線さよなら甲種輸送2020.9.28」と表記されたヘッドマークが取り付けられ、線路沿いには大勢のファンが集まった。同社の髙柳功技術部長は「地元警察にご協力いただき、最後まで安全に運行できたことに安堵(あんど)している」と話し、甲種輸送について「さまざまな車両を三ヶ尻線で運行したが、JR北海道とJR四国それぞれから東武鉄道へ輸送した『SL大樹』を思い出す。日本の鉄道は全国に広がり、会社は違っても接続できる協力体制があることを改めて感じた」と振り返った。

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