地域に根付く食文化をPRする文化庁の新制度「100年フード」に3月3日、熊谷市の「五家宝」と行田市の「フライ・ゼリーフライ」が認定された。
「100年フード」は全国各地に受け継がれる食文化を掘り起こし、後世に伝えることを目的とした文化庁の取り組み。伝統的な郷土料理や地域性と創造性にあふれるソウルフードなどを対象に、昨年12月に募集した。応募総数212件のうち131件が認定フードとして発表された。
認定部門は、江戸時代以前から伝わる「伝統」(28件)、明治・大正から続く「近代」(23件)、昭和以降に生まれ今後100年の継承を目指す「未来」(80件)の3部門。熊谷市の文化遺産保存事業実行委員会が申請した「五家宝」は「伝統部門」に選ばれた上、特に文化的価値があると評価され、全国で15件の「有識者特別賞」も受けた。行田市の行田おもてなし観光局が申請した「フライ・ゼリーフライ」は「近代部門」に選ばれた。
認定された食文化は文化庁の公式サイト「100年フード宣言」に掲載され、応募した団体の活動実績などと合わせて紹介される。
「五家宝」は、もち米を原料にした「おこし種」を水あめなどで固め、棒状にした芯をきな粉に水あめなどを混ぜた皮で巻き付け、さらにきな粉を表面にまぶした菓子。「フライ」は、小麦粉を水で溶き、野菜や肉などを交ぜて薄く焼いたもの。「ゼリーフライ」は、おからを主とした物をパン粉などの衣を使わずに素揚げしたコロッケの一種で、いずれも地元民のソウルフードとして昔から親しまれている。
「五家宝」について、熊谷市の学芸員は「『五家宝』の歴史や概要、伝承技術の現状などを調査研究した上で申請した。認定と受賞はとてもうれしい。歴史を引き継ぐ地域の食文化を世界に向けて発信していきたい。今後『100年フード』に関する講演会を開くなど、製法の普及啓発を進めていく」と話す。
「フライ・ゼリーフライ」について、行田おもてなし観光局の富山紀和局長は「これまで受け継がれてきた行田市の食文化が、『100年フード』に認定されたことを大変うれしく思う。この認定を機に全国の皆さんに『フライ・ゼリーフライ』を知ってもらい、行田に興味を持ってもらえるようPRしていきたい」と話す。