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行田の野菜直売所が「やさい畑だより」発行 コロナ機に交流の場創出

「みんなのやさい畑だより 第5号」を手にする小林英雄さん

「みんなのやさい畑だより 第5号」を手にする小林英雄さん

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 行田市・忍川沿いにある野菜直売所「みんなのやさい畑」(行田市栄町)が3月27日、「みんなのやさい畑だより 第5号」を発行した。

野菜の直売所の奥で常連客と話をする小林さん。直売所内には椅子が置いてあり、コーヒーを飲みに来る人もいる

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 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2020年に地域の青果店が閉店してしまったという栄町。30年以上趣味の家庭菜園で野菜を作っている小林英雄さんは、「遠方に買い物に行けない」「野菜を売って欲しい」と近所の高齢者から頼まれたことをきっかけに、「困っている人の役に立ちたい」と同年、畑の一角に手作りの直売所を開設した。以降、畑に興味を持ってもらおうと定期的にA4サイズの「みんなのやさい畑だより」を発行している。

 直売所入り口に置いて無料配布している畑だよりは、季節の話題や野菜の収穫予定を掲載し、「毎回気になるタイトルを付けている」という。第5号のタイトルは「決戦は四月」。決戦の対戦相手はマメ科のソラマメで、小林さんが過去3年にわたって栽培するソラマメとの「格闘の様子」を報告している。紙面には小林さん作の短歌も掲載する。毎号の編集や校正は直売所に立ち寄った客が担当している。

 小林さんによると、直売所開設で、畑仕事への姿勢はガラリと変わったという。「直売所に足を運んでくれるお客さまに、安全でおいしく、新鮮なものを口にしてもらい、喜んでもらいたい」と試行錯誤を繰り返している。悪天候以外の日は午前中に直売所を開き、誰もが来やすい場所作りを目指す。

 直売所に並ぶ野菜は一律100円で販売する。季節や客の要望によって品目を変える。現在は、ホウレン草、ブロッコリー、菊芋、春菊、菜花、エシャレットなど朝取りの新鮮野菜が並んでいる。客の注文を受けてから収穫することも多く、新玉ねぎは畑から収穫した物を提供しているという。

 高齢者だけでなく、サラリーマン、10カ国以上の外国人留学生や労働者、忍川沿いを散歩する人など常連客も増えている。「親子には収穫体験を勧めたり、利用者同士で野菜の調理法などの情報交換を行ったり、多様な人が集う場所となり、交流が広がっている」と小林さん。利用客でベトナム人のタムさんは「日本のお父さん」と小林さんを慕う。小林さんは「どこの地域にも困っている人がいる。地域で野菜作りをしている人が、小さな散歩道の休憩所として野菜の直売所を作ることで、新鮮な野菜を手にできる人や交流の場が増え、互いに笑顔が増えていくとうれしい」と話す。

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