藍の生葉染め体験が9月8日・9日、県立深谷高等学校(深谷市宿根)で行われた。
創立50周年を迎えた同校文化祭の記念事業。市民団体「藍の会」が協力した。
藍の生葉染めは、染め布の上に藍の生葉を固定し、少量の水を付け、木製スプーンを葉に押し当てて色を移す技法。同校では2021年、渋沢栄一が主人公のNHK大河ドラマ「青天を衝け」のロケで使った藍から採った種を深谷市教育委員会からもらい受け「藍畑」を設営。今回の体験は、市民活動サポートセンターを通じて「藍の会」の生葉染めを知ったことがきっかけになった。同会は以前から市内小学校で行っていた「藍の叩き染め」よりも簡単そうだと、スプーンを押し当てる方法を勧めている。
2日間で170人が生葉染めを体験。生徒と一般開放で訪れた人も体験した。生徒からは、「不器用なので失敗するかもと思って始めたが、丁寧に教えてもらって楽しく染められた」「初めてで新鮮な体験だった」「葉の真ん中の色を出すのに、力が必要で苦労したが、何とかできた」という感想が寄せられた。
「藍は校内で栽培しているのでいつも見ている。その葉でこんな素敵な物を作ることができるとは」と驚く様子を見せたのは、体験を担当した堀切宏明教諭。野本志江校長は「藍の栽培方法や藍染めを伝える展示と生葉染め体験で渋沢栄一と藍のつながりを広めたい。学校で育てた藍で、こんな体験ができるなんて」と話していた。
「藍の会」の生葉染め体験には、これまでも小学生からシニアまで幅広い層がチャレンジしてきたという。マスクに生葉染めを施し医療関係者に寄贈する取り組みが行われたこともある。同会の吉田光枝代表は「いろんなところから体験依頼が来ている。88歳になってこんな忙しくなるとは思わなかったが、郷土の偉人ゆかりの藍の生葉染めが広がっているのはうれしい」と喜ぶ。「手軽に、葉の並べ方でさまざまな模様を表現できるのが人気の理由だと思う」とも。