まちづくりを考えるワークショップ「レンガの街と七ツ梅の魅力」が11月4日、七ツ梅酒造跡の東蔵(深谷市深谷町)で行われた。主催はまち遺し深谷。
国内外での文化財活用実例をあげ七ツ梅の独自性を説明する平賀さん
ミニシアター「深谷シネマ」の館長で同法人副理事長の竹石研二さんが企画した「中山道・深谷宿ワークショップ」の2回目。東京工業大准教授で文化財などの建築史を研究する平賀あまなさんをゲストに迎えたトークイベントと、地元商店街や自治会、市民団体など6者のパネルディスカッションを行った。懇親会も行われ「深谷のまちづくり」について参加者が意見交換した。
深谷シネマは、以前あった場所が区画整理事業で解体となり、2010(平成22)年に七ツ梅酒造跡に移転。「七ツ梅酒造跡は、約950坪の元工場敷地に現在、工房や飲食店など12店舗が集まり、文化的な名所となっている。昭和の建造物を活かした撮影ロケ使用も多い」と竹石館長。「道路新設の計画がある東蔵やいくつかの建物は、今後取り壊されざるをえない。これまでもワークショップなど、市の担当者を交えて話し合いの場を開いてきた。状況は変化しているので、もう一度まちづくりを考え直す時期ではないか」と話す。
以前、建物調査で深谷を訪れた際、偶然七ツ梅酒造跡を見つけ、その魅力に取りつかれて自主調査を開始したという平賀さんは、七ツ梅酒造跡について、「深谷市がれんがを観光の中心に置いていること」「酒造りの多様な建物群がそのまま残った産業遺産であること」「初めに建物があるのでなく、やりたいことがある人が自然発生的に集まっていること」などを特徴として挙げ、「七ツ梅は深谷市にとって公共の価値がある」と話した。
パネルディスカッションでは参加者から、「酒造りが行われていた頃のこと」や「移転前の映画館初期のこと」「建築群の存続を求めたこと」「市内に3蔵ある酒蔵を生かした観光展開への期待」などの声が上がり、初めて訪れた人からも意見を聞くなどして参加者同士が意見を共有した。竹石さんは「ワークショップは次回が未定だが、今後も継続して開催したい」と話す。