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熊谷の「ホシカワコーヒー焙煎所」 火災から焙煎再開へ、エール続々

熊谷市役所前のコーヒースタンド「コンサイエンス」でコーヒーを入れる鈴木さん

熊谷市役所前のコーヒースタンド「コンサイエンス」でコーヒーを入れる鈴木さん

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 今年1月に火災による影響を受けた熊谷のコーヒーロースター「ホシカワコーヒー焙煎(ばいせん)所」(熊谷市星川)が現在、営業再開に向け動いている。

「The Shade Tree.」(深谷市)で「WILD KNIGHTSコーヒー」を焙煎する鈴木さん(右)と埼玉ワイルドナイツの竹山選手(左)

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 1940代後半にドイツで製造されたProbat社のビンテージ焙煎機を保有する同店。豆の個性を生かした焙煎にファンが多く、全国各地に商品を販売している。

 同店は1月18日、焙煎機内部と排煙設備内部から出火し、コーヒー焙煎所としての機能焼失。店主の鈴木洋介さんは当日SNSを通じて焙煎機内の熱により発火したこと、消防出動で周辺地域に迷惑を掛けたことを謝罪した。自家焙煎事業停止の知らせに市民やファンから「自家焙煎復活を待っています」「お店の皆さんが無事で何より。復旧できそうで良かった」「何か力になれることがあれば」など多くの応援メッセージが寄せられた。

 調査で建物の火災損害はなかったが、焙煎機の復旧、排煙設備の再構築が必要な状態と判明。「私たちの焙煎機は、最新型とは異なる鋳物の蓄熱と、国内では珍しい排煙設備が特徴で、唯一無二のものだった」と鈴木さん。しばらく現実を受け止められず、焙煎機を抱え途方に暮れていたという。

 火災後すぐ、鈴木さんに声を掛けた人たちがいる。ロースターカフェ「Leaves Coffee Roasters」(東京都)の石井康雄さんと「Fuglen Coffee Roastery」(神奈川県)の小島賢治さんは復旧まで焙煎豆を卸すと連絡、数日で届いた。焙煎機の無償提供を申し出たのは老舗和洋菓子店「菊寿堂」(深谷市)の山下雅章社長。運営するコーヒーベーカリー「The Shade Tree.」のオープン時に鈴木さんがアドバイザーを努めた縁で交流があり、「困っている時はお互いさま」と声を掛けたという。コーヒー好きで自身が活動する「96DEGREES°」で昨夏コラボ商品を企画した埼玉ワイルドナイツの竹山晃輝選手は「助け合いで何かしたい」とメッセージを寄せた。「リーグ開幕からチームが2試合中止になり、自分の状況と重なった」と話し、同カフェで「WILD KNIGHTSコーヒー」の焙煎に立ち会いエールを送った。鈴木さんは「言葉にならない位ありがたい。応援してくれる皆さんに感謝しかない」と話す。

 現在は数量限定で、運営する「ホシカワカフェ」(星川)と「コンサイエンス」(宮町)の店舗販売のみ。鈴木さんは「徐々に卸やオンラインショップも再開していきたい。またいつか私たちの焙煎機で自家焙煎業務ができるよう再建準備も始めている。以前の味わいとは異なるが味づくりや表現を考えながら1から再スタートしたい」と前を向く。「新しい形のホシカワカフェのコーヒーを楽しみにしていただければ」とも。

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