「栄養まるごと調理イベント」が4月20日、東都大学深谷キャンパス(深谷市上柴町)で行われた。深谷市と栄養まるごと推進委員会の共催。
始めに野菜全体の重さを量り、皮をむいて食べる皮の重さを量り、ブロスにする皮の重さを量る
深谷市が、「野菜を皮ごと食べる文化をつくる」活動を展開する同会と共同で取り組む「食品ロス問題」「生ゴミ問題」の解決に向けた実証実験企画の第2弾。
参加者たちは当日、野菜の皮や根、種など、一般的に捨てられる部分を「食べられる」「食べられない」に分けて料理する「栄養まるごと調理」体験を行った。
「栄養まるごと推進委員会」は、深谷市が農業課題解決のため開いたコンテスト「DEEP VALLEY Agritech Award 2019」でファイナリスト賞を受賞したクリーニング会社「land link(ランドリンク)」を中心に設立。深谷市は2021年からこれまで、ランドリンクが開発を手がけた、純水と炭酸カリウムが主成分という食材洗浄水「ベジセーフ」を深谷市内の学校給食調理に試験導入し、皮ごと使った野菜メニュー「栄養まるごと給食」を提供してきた。同プロジェクトは現在、学校給食だけでなく家庭でも皮ごと調理の普及活動に取り組んでいる
東都大学深谷キャンパスで行われたイベントでは、集まった38人の大学生と市民参加者が5~6人のグループに分かれ、「ベジセーフ」を使って調理を行った。食べられる皮や根・種から取った野菜のだし(ベジブロス)でカレーを作ったほか、東京慈恵会医科大学附属病院の濱裕宣栄養部課長の栄養講座を受けた。
調理が始まると、「皮はどこまでむいたらいい?」「根っこは取る」「タネも取っておくの?」と話し合う参加者の姿があった。濱栄養部課長の説明を聞きながら、「どの部分が食べられるのか」「工夫すれば食べられる部分はどこか」「食べてはいけない部分」を確認して調理を進め、各グループで皮の量を数値化。廃棄量を計った。この日の「野菜くず」は「ダシネット」に入れてベジボーンスープを作った。
夫婦で参加した地元女性の一人は「普段捨てている部分を再利用してだしを取るという方法に興味があり参加した」と話す。同大学4年生の2人組は「ベテランの方がいてどんどん進めてくれた。ここまで細かく野菜の皮を使うのは初めて」「普段の実習と違って戸惑ったが、栄養講座で皮も食べていいと聞いて時短になるしいいと思った」と話していた。
濱栄養部課長は講座で「新型栄養失調」について説明。「野菜や果物の皮には、ファイトケミカルという栄養成分が豊富に含まれており、皮ごと食べることによって慢性的な栄養不足を解消できる」と話す。「廃棄量から食品ロスや野菜の皮の栄養を感じてもらい、普段から野菜を皮ごと調理することを普及していきたい」とも。