バリアフリー・ユニバーサルデザインのヘアサロン「hair make Asterisk（ヘアメイク アステリスク）」（熊谷市上之、TEL 048-598-8383）が熊谷市にオープンして3カ月がたった。

車いすのままでも利用することができる店内

　福祉美容師、介護士の資格を持つ店主・松本諒太さんが開いた完全予約制のプライベートサロン。国道407号線と熊谷バイパスをつなぐ第二北大通線の点字図書館（北）交差点近く、パン店や飲食店が並ぶ一角にある。店舗面積は35平方メートル。広めに設計した店舗入り口やトイレ、着脱式のスロープ、独立式のシャワー台など車いすのままでも利用することができる。

　専門学校卒業後、美容師として経験を積み店舗運営も任されていた松本さん。さまざまな客と接する中で、病気や高齢を理由に来店することがかなわなくなった人を多く見てきた。「一般的な美容室でできることは限られる。対応できないと利用を断ることもあった」と振り返る。転機は父親が病で倒れ「親の介護」が現実的になったこと。松本さんは「そのとき父は60歳。全く予想していなかったことで何の知識もなく、がくぜんとした」と話す。このままではいけないと学ぶうちに、家族のケアだけでなく美容師としても「対応できないと断るのではなく、できる限りのことをしたい。全てのお客さまを受け入れたい」と思い立ち福祉美容師、介護士の資格を取得。安心して施術を受けてもらえるよう設備を整えオープンした。

　丁寧なカウンセリングで顧客の状態に合わせて柔軟に対応し、訪問美容にも応じる。メニューは、カット（4,125円）、カットとカラーのセット（9,075円～）など。毛先までバランスを調整しながらカットすることで、自宅でも再現しやすいスタイルを心掛ける。

　オープンから3カ月。小さな子どもから年配の人まで口コミで広がりリピーターもついた。車いす生活を始めたばかりで動作に不安のある人、パニック障がいや適応障がいなど心に不安を抱える人など、地域包括支援センターからの紹介もある。松本さんは「本人の意思とは関係なく、通っていた美容院に通えなくなるのはつらいと思う。完全予約制でお客さま1人の時間を長めに取っているので、人前に出るのが少し不安という方にも利用してもらえれば」と話す。「アステリスクは古代ギリシア語で小さな星という意味。ノーマライゼーションの理念のもと誰もが当たり前の生活が送れるように、美容を通じて寄り添い、誰かの希望の光になりたい」とも。

　営業時間は9時～21時。